柴田ヨクサル『エアマスター』第185話 川よ

ひっさびさに感想書いてみます。といっても月並みな感想ですが。
ついに伸之助までが倒れた今回。「(主人公だからって)摩季が強すぎて…」とちょっと引いている読者に追い打ちをかけるような展開でした。ジュリエッタが結局渺茫と再戦せずに、摩季との勝負になりああいう結末になった…のは個人的にはあれでも良かったと思うんです。同じ(近い)孤独を抱える者同士ぶつかりあい最後に落ち着いたという、期待とは違ったけど良い展開でした。
しかし今回は穏健派ファン(?)の自分も「足りないな〜」と感じてしまいました。(手負いとはいえ)歯が立たない状態だったのが、自分の抱えるものを振り返り奮起。ここまではいいです。しかしその後がちょっとあっけなさすぎる……。攻撃がかすり出したところで摩季のジョーカー的台詞「あなたは強いよ」、この一枚で場が終了!?これまでじわじわと場に積み上げてきた伸之助の手札が一掃されてしまいました。(変な例えでなんのゲームかよくわかりませんが)これまで崎山もみおりもカイもジュリエッタも由紀も(?)摩季に何かを受け入れてもらう為、認めさせる為に戦いを挑んできた、その点は伸之助も同様ですから、それが摩季の手で浄化される分にはかまわないんですよ。でも、今回はそのカタルシスの中での感動というか快感みたいなものがほとんど無かったんですね。それが残念。じわ〜っと来るんじゃなくて、箒でサッサと掃いた感じ。やっぱ連続して切り札の「認め」出しちゃうと安くなってしまうのだろうか。
今回タイトルが「川よ」ってことで。深道が摩季と渺茫を台風(ハリケーン)に例えている中で、伸之助が自らに「川(ガンジス)」を重ね始めたので、そこで勝手に僕は「台風に挟まれて周りが荒野になろうとも常にそこに在り続ける川」みたいなのを期待しちゃったんですよね。ここでひとつ驚きを与えて伸之助の存在感を示してくれるだろうと。それがあっさり終わってしまって、あんなに引っ張ったのに扱い悪いなあ…としょんぼりしてしまったのでした。伸之助は"僕の答え"に辿り着けたのだろうか?
まあ、文句ばっか言っても仕方ないので(笑)、これからふたつの「戦いの中心」=「台風」、ことエアマスター渺茫がこれまでを踏まえてどんな戦いを繰り広げてくれるのか楽しみにしたいと思います。実際これまでの強敵はみんなこの二人に引き寄せられてきて、その結果ますます台風は大きくなったわけですからね。