荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』#6 15,000メートル 涸れた川 午前10時5分

一挙2話掲載の2話目です。
コースの説明。今のところ出場者同士の小競り合いがメインなわけですが、一見普通のコースと見えてこの地形には実はッ!こんな自然の『罠(トラップ)』が!あったのだッ!とかスティール氏が自信満々に語り出す展開とかはあるんでしょうか。少年漫画だとそういう展開の方が王道なだけに、このまま(選手主体でコースを活用した)競り合いで流れていくの希望。
ジャイロの経歴について調べろとの命令、読者もとっても知りたいところ。果たして何か明らかになる事実はあるのか。
帽子を被ったディオには新鮮なおもむきがあります。それでも冷たい眼差しのまま唇片方だけぐいっと上げる笑み(?)を見せたり、フンと鼻で笑ったり、まさにパラレルワールドキャラ。雰囲気的には、「3部ラストバトルで承太郎にやられそうになったものの復活したら妙なハイテンションになっちゃった」その前のDIO様に近いかな?しかしSBRのディオは目にすごい色気があるなぁ。『ここ数年で「のし上がって」来た俊英騎手』という表現から、何かとんでもない策略でジャイロを陥れちゃうのかと、やっぱりドス黒い悪なのかと思いましたが、ある意味「世界」を思わせるニクい才能で颯爽とジャイロを置いていこうとしてますね。そしてジャイロが問いかけ、ディオが無駄ァ!な返答「教えたところでどうなる?」という構図に狂喜!これはまさに1部の「きさまいったい何人の生命をその傷のために吸い取った?」「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」の図じゃないか!ツェペリとブランドー。*1まぁあの時のようなディオの名台詞は生まれませんでしたが。これ荒木先生覚えててやってんのかなぁ?ついでにいうと「一度追い抜かれたらもう抜き返す事は出来ない」云々のくだりではダービー弟vs花京院のF-MEGA対決がよみがえったり*2
しかし馬のクセを見抜かれつつもそれを逆手にとり鉄球で状況を逆転させるジャイロ。動じない所が荒木漫画の主人公っぽい。今回の鉄球は「馬のクセを爆発的に引き出す」回転。普通に面白いんですが、これが今のところ感じてる最大の不満でもあったり。やっぱりまだ鉄球の具体的な能力〜何が出来て何が出来ないか〜がわからないから、ジャイロがすごい事やっても「そう使ったか!」という驚きがあまり生まれない。ジャイロ(鉄球)だけが荒木漫画お得意のルール(制限)下に無いもんだから…*3。今回はジョニーが立った事につながってるからまだ納得出来るんですが、前回の投影機能力なんかは特にそう感じました。なので早いとこ鉄球の正体を明らかにして欲しいです。でもそれ分かっちゃうとジョニーが結論見つけてSBR終わってしまう、のか??謎は謎のままの方が面白いという意見もありそうですが。
そして…ポコロコ来たー!!いないと思ったら遅刻かよ(笑)ポコロコって何か「数える」のが趣味なんですね(プッチ神父か)。これでペナルティがついたハズなんですがペナルティって何なんだろう。ポコロコは緊迫したシーンの後にこうして要所要所ユルめてくれる存在になるのかな。いいキャラです。後から遅れてついて行くポコロコはさすがに徒歩がキツかった砂男と行動を共にする、とかなったら楽しいんですが。決意は悲壮でも*4態度はカッコよく真面目な砂男と、お気楽で脳天気なポコロコのコンビ。でもどっちも虐げられる者の背景アリみたいな(重た〜く描かれるのは望みませんが)。妄想してみると、ポコロコはただの超ラッキーマンでなくて、荒木ポジ・キャラがまとうポジ・アティテュードにこれまでより分かりやすい「人間万事塞翁が馬」概念を着せ、荒木運命論の中で踊らせてみたら…という実験なのかもとか、あれ、自分で言ってることがよく分かりません(逃げるな!)。
今回の名台詞

  • ジャイロ「クセだとよ どういうこったい?おい おめーさんにクセがあったのかよ…知らなかったぜ」 ジャイロの田舎くさいシャベリがクセになりそうです

*1:細かくてすいません

*2:重ね重ね細かくてすいません

*3:少なくとも読者にその制限が知らされてない

*4:端から見ての話ですが