荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』#15 アンドレ・ブンブーン

2nd.STAGE初日、95kmを走ったジャイロとジョニィは野営。次の水場まで約50kmだそうですが、水の心配をするのはまだ先の話になりそう?どれくらいもつ物なんでしょうね。
ジョニィが読んだという新聞記事。召し使いの家系の少年、マルコに起こった事件。荒木先生はキャラクターの人生を淡々と語るのがうまいですね。突然の逮捕、斬首刑の決定などの悲劇の衝撃もさることながら、その前の9歳の息子を送り出す父親の言葉とか、その言葉通りに靴をみがき帽子にブラシをかけ続けるマルコのシーンが、ホントいいなあと思います。
唐突に終わる記事紹介。最初吹き出しがついてたので、ジョニィがジャイロに話してるのかと思ってしまいましたが、読者に対してだけの話だったのね(笑)。それにしてもジョニィまで「ヨーロッパのある国」と伏せてますが、そのまま「イタリア」じゃ駄目なんでしょうか?*1
いきなりコルクの「回転」に成功するジョニィ。スジがいいです。「なんで見てないんだ」「なんで四六時中オマエを…」のやりとりが面白いです。飛んだコルクはジョニィの馬の尻にささっていた模様(笑)。背中に落ちていく湿ったコルクに慌てるジョニィですが、ジャイロの警戒発言でシリアスモードに。結局コルクは背中に入ったまま?心配はジョニィの役どころですが、こと「敵」に関してはジャイロの方が敏感な様子。
ジャイロの鞄から覗く例の新聞記事と紋章入り書簡入れ。「ツェペリ法務官 少年有罪に抗議」「裁判やりなおしの費用に50,000,000ドル必要」単純にとらえると、ジャイロはなんと法務官(インテリ!)で、少年マルコを救うためにSBRレースに参加しているという事でしょうか。無関係(?)の子供を助ける為に、危険も伴うレースの賞金を狙う!という動機はジョジョに脈づく「黄金の精神」って感じで燃えるものがありますが、しかしこれまでのガハハニョホとか言ってるジャイロのキャラからすると少し面食らう気もしますね*2。しかしこういう感じで少しづつジャイロの色々な面が明かされていくのは大歓迎。ジョニィのモノローグがまた、今後に期待させる感じでいいんだ!*3あ、「ジャイロと少年はどういう関係なのだ?」とかあるから無関係では無さそうですね。なんとなく幼いジョルノと追いつめられていたギャングみたいな関係を連想したり。法務官としての正義感・義憤だけよりかは、「俺は心に思ったことだけをする」みたいな方がジョジョっぽいですしね。
ちなみに少年の処刑は12月、SBRレースは9/25スタートで、#1の会見での記者の言によるとゴールまでの日数見込みは60〜80日。処刑の日付けにもよりますが、優勝して間に合うかどうか微妙な?屬世辰燭蠅靴泙后
話は戻って不審者。「怪しいかそうじゃあねーかは おめーがいなくなってから評価してやるよ」だそうですが、見るからに怪しい(笑)。瞳の光がちょっとプッチ神父っぽいのが怪しい。まあ、「怪しませておいて被害者」というパターンもあるわけですが*4ナランチャを不細工にした感じでしょうか。毒トカゲに噛まれた場所(指)を切って消毒したいから火を貸してくれと。火だけは投げてもらえることになり「ありがとう」連発したらへんから、いつ牙を剥くんだろうとどきどき、読んでる自分の脳内にひと足早く流れ出す擬音「ゴゴゴゴ」。まさしくジョジョを読んでる感じ!
しかしいきなりベルトを首に巻き「麻酔だ」と自分を締め落としに入る男。それまで慌てた風だったのが汗ひとつかかず自傷行動に走るこの異常さ!剥いてる目もいい(笑)。ジョニィのうわ見てらんないって反応も対照的にまともでいい(笑)。ジャイロの「寝る前だってのに変なもの見せやがってッ!!」もなんかいい(笑)。
あまりの事態に男に近付くジャイロ達。そして明らかになる男の名前、「アンドレ・ブンブーン」!うわあブンブーンきた!神経に迫るように徐々に起こる異常、そこで響くはあの擬音「ゴゴゴゴ」、今回の異常はいつの間にか切り裂かれたジャイロのブーツ。このタイミングで明らかになる他の二人のブンブーンの存在。「ガン!」「ドドドドドド」待ってましたとばかりに登場する二騎の人影!「ガンッ」欠けた蹄鉄の足跡!「バリッバリッ」足から生えた爪のような何かで本格的に避けるジャイロのブーツ!いや〜〜このリズム感ですよ!醍醐味。盛り上げるな〜。この後半の展開最高だと思うんですが。
ベンジャミンとL.A.の二人のブンブーンもイカレてるっぽくていいなあ〜。兄アンドレに劣らない弟のキモさはどうよ!夜叉と乙雅三を足すとこんな感じになるかな。なんか尾玉なみえの漫画に出てきても違和感ない(笑)。そして親父も悪そうな感じで。顔にごっつい矯正具みたいのつけてる!グリーン・ドルフィン刑務所懲罰房に収監されてそうです。まあロビンスンにしろブンブーン一家にしろ、どんどん変なキャラが出て来るので飽きなくていいですね。逆にまだ2nd.STAGEなのに次々上位の敵退けちゃって大丈夫かなというのもありますが(笑)。
敵の能力について考えてみましょう。身体や血(のついた物)に触ることで発動する呪い系能力?親父が「アンドレが本気出してる」って言ってるので、死にそうになるほどに強く発動?……触ったのがナイフだから、ナイフっぽい爪が生えた、とか…。爪状の物は鮫の背ビレっぽくも見えますね。なので突飛な予想をすると、触れた部位に誕生させた凶暴な「それ」が本体の元に帰ろうとするついでに、腹まで昇っていき、食い破って出てくる。「ゴールド・エクスペリエンス」と「クラッシュ」と「ビーチ・ボーイの針」「猫草の空気注射」を合わせたみたいな*5。最初の被害者たちはどっちかというと身体の内部から攻撃されたっぽかったですからね。そういえばブンブーン一家のファッションも、胴体に標的のようなデザインが。被害者のジーンズのボタンは、「それ」がそうやって飛び出してきた(そして内臓を引きずり出しつつ本体に戻る)時にひっかかって瓶の中に…。
適当に考えていたらずいぶん回りくどい能力に(笑)うーんわからん。1st.STAGEで他の参加者に気付かれなかったっていうのもやっぱり謎。
しかしジョジョの敵は相手に油断させて近付かせるのがうまいというか大変だねというか。知謀戦で主人公たちに苦労させるには、もとから慎重な主人公の上を行かないとならないんですねぇ。これでアンドレが死んでたりしたらうけるかも。
敵の術中に落ちたっぽいジャイロ。自分で鉄球を使うよりも、回転をつかみつつあるジョニィにアドバイスを与え、危機を乗り切るような展開になるんでしょうか。楽しみです。

*1:ジャイロの入国も、出国はイタリアだけど船は「ある国」の皇族の船ですと

*2:たぶんジョニィも面食らってる

*3:「レースが彼にとってもっとも過酷になった時に」とか

*4:5部サーレー戦のトラック運転手とか

*5:さらにいうなら『デッドマンズQ』の掃除屋